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初来日ツアーで出会った人々の思い出 <ライト・イン・バビロン in ジャパン>

イスラエル人・トルコ人・フランス人のトリオ「ライト・イン・バビロン」は、演奏活動を通じて、文化の多様性やヒューマニズムなど、様々なメッセージを発信。“You Tubeスター”という存在とはうらはらに、人と人との直接的な触れ合いをとても大切にしている。

―ミハル・エリア・カマル(ミュージシャン)

ライト・イン・バビロンのコンサートは音を楽しむだけでなく、観客と行く中東やイスタンブール、地中海の音楽の旅でもあります。東洋の楽器と、メインボーカルのパワフルな歌声で、人間性、多文化性、そして女性の力という物語を語り、メッセージを伝えています。
今日においても、世界中の多くの女性がジェンダーアパルトヘイトというシステムの中で生きています。例えばイランでは、女性は公共の場で歌うことは許されません。ミハル・エリアは、革命後に家族でイランからイスラエルに脱出しました。そしていつかイランで歌う日を夢見ています。ミハル・エリアの書いた「The Women of Teheran (テヘランの女性たち)」のミュージックビデオは、世界中で何百万回も視聴されています。


<初来日ツアーに向けて>

私が日本で最初に発見したことは、繊細かつ心の広い人々でした。
日本に来る前は、何を期待していいのか分かりませんでした。日本人は私たちの音楽が気に入るだろうか?私のジョークで笑ってくれるだろうか?私の感情を感じてくれるだろうか?私たちの文化は違いすぎているだろうか?

よく、海外でのコンサートはそれぞれ感じ方が違うのかと聞かれます。私は世界中でコンサートを開いた経験から学んだことを答えます。私はヘブライ語で歌うので、ほとんどの観客は私の歌の歌詞を理解できません。しかし、私たちのコンサートでは、別の言語が存在しています。それは世界的な言葉‐感情という言語です。世界中どこでも、人は感情を持っています。幸せな気持ち、悲しい気持ち、あふれる希望や、そして恋に落ちる感情。ですからどのコンサートでも、人々のリアクションはみな同じです。同じ目、希望にあふれたまなざし。その目に人類への信頼をいつも感じさせられます。

コンサートやステージ上で繰り広げられる音楽の旅は、私たちだけで創造しているのではありません。観客が私たちの音楽、私たちのコンサート、そして私たちのメッセージのインスピレーションの一部となっています。コンサートの後、観客の皆さんと会うことをとても大切にしています。目を見て言葉を交わし、一緒に写真を撮ったり、ハグしたり握手をしたり、彼らの話を聞いたりしています。

私たちが経験した、日本人リスナーとの交流のお話しをしましょう

安来(島根県)での最初のコンサートで、ある女性が私にハグを求めてきました。「もちろん」と私は答え、腕を広げてハグをしました。するとその若い女性は泣き始めました。「どうして泣いているの?」私が尋ねると、彼女は、「日本人はハグに慣れていないの、特に知らない人とは。私はあなたを知っていたけど、あなたは私を知らなかったでしょ?でもあなたはハグしてくれたから、私はすごく嬉しいの。」

また、別の女性の話は私の心を強く打ちました。彼女は仕事が好きではなく、ひどく落ち込んでいました。仕事を辞めたい、でもその勇気もエネルギーもありませんでした。彼女は長い間何をすべきか、そしてどのように続けていけばいいのか分かりませんでした。そんな時に彼女は私たちの音楽に出会い、毎日YouTubeで私たちのビデオを観ていたそうです。私の声と強力なエネルギーで、彼女は仕事を辞める力を得て、その後やりがいのある別の仕事を得ました。私が彼女にインスピレーションと力を与えたことに、彼女は感謝してくれました。

浜松でのコンサートの後、多くの人が列を作って私たちを待っていてくれました。その中に、杖で体を支えている男性がいました。彼は私に絵を手渡してくれました。それは私がドラムを叩いている、とても感動的で美しい絵でした。私が彼に感謝を伝えると、彼の目から涙が溢れ、泣き止むことができませんでした。私は彼に涙の意味を聞かず、ただ彼の手を握りました。私の仲間のジュリアンとメテも、同じように彼の手を握っていました。後に、彼ががんを患っており、余命数カ月だと宣告されていることを知りました。彼は病院から私たちのコンサートに参加し、コンサートの後また病院に戻って行ったそうです。彼は10年以上も私たちの音楽をフォローしており、私たちのライブを生で観るという彼の夢が現実になったことをとても喜んでいました。

その同じコンサートの後、ある若い女性に話しかけられました。彼女は少しシャイで、英語が話せませんでしたが、私にどうしても聞いてほしい話があると言いました。私たちは通訳を介して、彼女の話を聞くことができました。彼女は夜勤もある工場で真面目に働いてますが、時々孤独と不安に襲われることがあるそうです。彼女はYouTubeで私たちの音楽と出会い、私たちの音楽は長時間のシフト中に彼女に寄り添い、彼女に安心と希望とやる気を起こすそうです。また、私と直接会う日が来ることはないだろうと思っていたので、まるで夢を見ているみたいだと言いました。私は彼女の手を取り、彼女はこぼれる涙を止めることができませんでした。

また別のコンサートでは、ある若い男性に驚かされました。彼は完ぺきなヘブライ語を話したのです!彼は何年も私たちの音楽をフォローし、イスラエルにも住んだことがあり、そこでヘブライ語を学んだそうです。彼は私にイスラエルのコーヒーをプレゼントしてくれました。最も代表的な地元のブランドで、名前を「トルココーヒー」といいます。彼は日本人で、ヘブライ語を話し、プレゼントはトルコと名のついたコーヒー。これこそが美しい多文化主義の祭典だと思います。

日本では多くの人と会って、多くの物語を聞くことができました。

あるベリーダンサーの方は、私たちの音楽を長年聞いてくれて、平和のために踊っています。彼女は家族と共にコンサートに三回足を運んでくれました。そしてまた、もう一人の美しい年上の女性。
彼女の美しく印象的なルックスは無視できないほど目を引きました。彼女は私たちの音楽からエネルギーを感じ、ありのままの自分を愛して、髪染めを止めて銀髪を受け入れることにしたそうです。その他にも多くの話を聞きました。

私が日本で出会った人々の話から学んだことは、ここ日本でも同じような葛藤を抱えているということでした。自分の意思、個性、夢、自由と、文化、社会、そして伝統の狭間にある葛藤。日本人女性の多くは自分の声を見つけ、そしてますますクリアなメッセージを自由に発信しています。私も彼女たちのようにこの道を歩みながら、この世界と声と音楽の中で私の持てる力を見出していきたいと思います。

(翻訳:宮森久子)

年配の男性人の肖像画

© Light In Babylon

ミハル・エリア・カマル

ライト・イン・バビロンは、イスタンブールを拠点とするオリジナルのオリエンタル/地中海音楽バンド。様々な民族と文化を融合を特徴としている。動画再生総数3000万回を超え、世界中にファンをもつ。イスラエルのカリスマ的シンガーソングライターのミハル・エリア・カマルが、トルコ人サントゥール奏者のメテハン・チェフチェとフランス人ギタリストのジュリアン・デュマ―と共に、中東から新鮮な歌声を届けてる。
初来日ツアーは2023年7月14日~23日にかけて全国8か所のホールで開催され、2会場が完売に。

ツアーについて:https://www.harmony-fields.com/profile-lib

YouTube channel: www.youtube.com/lightinbabylon

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