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My Favorite Jewish and Israeli Artists Selection on Classical music

白を身に着けている人のヘッドショット

真嶋雄大 / Yudai Majima

音楽評論家・作曲家・プロデューサー。

5 歳からピアノを、中学から作曲を学ぶ。1973 年には《ソプラノと和洋合奏のための変容》を発表、自ら指揮して注目された。音楽評論家として朝日新聞など新聞各紙、「音楽の友」等媒体各誌、演奏会プログラムなどの曲目解説、CD 等のライナーノート、各地での音楽劇の原作・台本等、積極的な執筆活動を続け、NHK-FMなどへの出演やコンクールの審査員なども数多い。また全国の放送局や音楽ホールなどで音楽劇や、内外の著名な音楽家とのトーク・コンサートを企画・プロデュース、また作・編曲して出演、クラシック音楽の普及に努めている。その模様が2017年「日経ビジュアル音楽堂」で紹介された。 

著書に「グレン・グールドと32人のピアニスト(PHP研究所)」、「ピアニストの系譜~その血脈を追う~(音楽之友社)」等の他、共著多数。朝日カルチャーセンター新宿、よみうり文化カルチャー八王子、山梨英和大学メイプルカレッジ各講師を歴任。現在、公益社団法人日本演奏連盟専門委員、YCC県民文化ホール・アーティスティック・アドバイザー、富士山河口湖音楽祭アドバイザー、「真嶋雄大の面白クラシック講座」主宰。

CONCEPT

ユダヤ人は、政治、経済というジャンルのみならず、文化、音楽面でも世界的な逸材が多い。出生地にかかわらず独特のメンタリティが貫かれ、特にクラシック音楽アーティストの功績が顕著である。物故者ではクレンペラー、バーンスタイン、ワルター、アンチェル、ショルティ、プレヴィン、レヴァインなどの指揮者、ピアニストではルービンシュタイン、ヴァイオリニストではメニューインやスターン、チェリストではロストロポーヴィチなど錚々たる顔ぶれに驚かされる。

またイスラエルの地でも、イスラエルフィルをはじめとするオーケストラや室内管、アンサンブルやコーラスなどが数多く結成され、優秀な音楽学校やA.ルービンシュタイン・コンクールなどの国際コンクール、国際音楽祭などが次々と誕生し、世界的な音楽家を次々に輩出することになった。


ここでは、現在活躍しているユダヤ系およびイスラエル出身の現役アーティストにスポットを当て、その音楽観や音楽性を紹介していきたい。

エリアフ・インバル(1936~)Eliahu Inbal
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 Op.68
エリアフ・インバル指揮 ガリシア交響楽団

イスラエルに生まれたインバルはフランクフルト放送響等で音楽監督や常任指揮者を歴任、日本でも長年東京都響を指揮し、現在は桂冠指揮者の任にある。2019年3月27日にはイスラエル大使館において、チェロ奏者ガブリエル・リプキンとの対談に臨み、2人が共演したブロッホなどの音楽談義、また日本食など多岐にわたってのトークが繰り広げられたのは記憶に新しい。ガリシア交響楽団は1992年に創設された、ア・コルーニャを拠点とするスペインのオーケストラであり、インバルは見事な統率力をもって、重厚なブラームスを表現している。

ダニエル・バレンボイム(1942~)Daniel Barenboim
ベートーヴェン ピアノとヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 Op.56
ダニエル・バレンボイム(ピアノと指揮)、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団。
ヨーヨー・マ(チェロ)、アンネ=ゾフィー・ムター

1970年代には、ベートーヴェンの”世紀の駄作”と言われていたが、名演奏家によるいくつもの録音で現在は立場が逆転、”世紀の傑作”となった作品。当代随一の名手たちによるコンチェルトのサポートは、バレンボイムによって設立された、対立するイスラエルとアラブ諸国の若手音楽家で組織した記念碑的なオーケストラ。

ウラジーミル・アシュケナージ(1937~)Vladimir Ashkenazy
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37
ウラジーミル・アシュケナージ(指揮とピアノ) ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ

ピアニストとして一世を風靡し、N響の音楽監督など指揮者に転向後も数々の名演を繰り広げたアシュケナージ。指揮しながら指揮棒で左手の平を貫通させるなどエピソードにも事欠かないが、一度、私はマエストロと2人切りで30分ほどインタヴューしたことがある。すでにピアニストとしての活動は減少していたが、それでも「J.S.バッハは常に私の心にある」との言葉が印象的だった。マエストロの演奏するJ.S.バッハの動画はあまりなく、今回は1985年5月9日、東京文化会館でのライヴでのショパン「バラード第4番」。2020年、演奏活動からの引退を表明したのは本当に残念。

グレゴリー・ソコロフ(1950~)Grigory Sokolov
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
グレゴリー・ソコロフ(ピアノ)、エサ=ペッカ・サロネン指揮
フィンランド放送交響楽団

ソヴィエト連邦の圧政によって国外での活動を制限され、また飛行機嫌いのため、近年では“幻のピアニスト”と呼ばれるソコロフであるが、間違いなく世界10指に数えられるが巨匠。強靭なタッチ、ダイナミックな表現と哀切漂う抒情の調和はソコロフならでは。1993年、ヘルシンキでのライヴ。

マレイ・ペライア(1947~)Murray Perahia
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57
マレイ・ペライア(ピアノ)

ペライアにとってベートーヴェンはレパートリーの主軸のひとつ。来日の度にソナタや変奏曲を採り上げ、CD録音でもピアノ協奏曲は全曲、ソナタでも未収録は32曲中数曲を残すだけ。2度ほどお会いしてお話をさせて戴いたが、指の故障によるブランクから見事に復活したように、とにかく人生について、音楽について、まさに真摯な巨匠であった。この「熱情」も名演。

エレーヌ・グリモー(1969~)Helene Grimaud
ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83
エレーヌ・グリモー(ピアノ) ディヴィッド・ジンマン指揮 NHK交響楽団
  

一時、狼の保護運動などにも参加していたエレーヌ(あえてファースト・ネーム)は、フランス出身ではあるが、もっとも傾倒しているのはブラームス。お会いした時、彼女は「ドイツ・ロマンの音楽の内的世界と私には共鳴するものがあります。それはユニヴァーサル・リズムであり、包括的に哲学に属すると思いますが、私の内省と一致するのです」と熱く語っていた。

ギル・シャハム(1971~)Gil Shaham
コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
ギル・シャハム(ヴァイオリン) アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団

幅広いレパートリーを誇るギル・シャハムは、幅広く多彩な活動でも知られるが、古典派からロマン派、近代にかけてのコンチェルトには独自の視点で輝かしい感興を紡ぐ。シャハムのライヴ映像は結構あるが、ライヴ映像ではないものの、ここはやはりユダヤ系作曲家コルンゴルトの耽美的なヴァイオリン協奏曲を。シャハム独自の美音をたっぷりと…。

ギドン・クレーメル(1947~)Gidon Kremer
フランク「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番《春》」、ヤナーチェク「ヴァイオリン・ソナタ」より第2楽章バラード、シューマン「ヴァイオリン・ソナタ第2番」より第4楽章、クライスラー「愛の悲しみ」
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

世界のヴァイオリン界の頂点に立つ、押しも押されもしない巨人。そのクレーメルが最高のパートナーと認識する、やはりユダヤ系である巨匠マルタ・アルゲリッチとの現代考え得る最高のデュオ。まさに火花が散るようにスリリングな、そして神韻縹渺たる演奏である。

ピンカス・ズッカーマン(1948~)Pinchas Zukerman
シューベルト ピアノ五重奏曲「鱒」
ピンカス・ズッカーマン(ヴィオラ)、イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)、ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)、ズービン・メータ(コントラバス)、ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

なんというアンサンブル。ユダヤ系のパールマンがヴァイオリンを、ズッカーマンがヴィオラを、バレンボイムがピアノを、その妻で超一流の腕を持ちながら多発性硬化症のため42歳の若さで夭逝したジャクリーヌ・デュ・プレがチェロを、そして現在イスラエルフィルの終身音楽監督を務めるズービン・メータがコントラバスを担うという夢の競演。1969年のリハーサル付き音楽フィルム。

ミッシャ・マイスキー(1948~)Mischa Maisky
ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104
ミッシャ・マイスキー(チェロ)、ヤツェク・カスプシク指揮 ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団

度重なる来日で日本でもファンの多いマイスキー。これは2015年ワルシャワ・フィルハーモニーでのライヴ。一度お会いして話をした時、昨今の古楽ブーム、ピリオド楽器について、「もちろん否定はしないけれど、当時の楽器や奏法に固執することはない。なぜなら音楽は生きているから…」と、じっと目を見つめて語ってくれた。

ナサニエル・ローゼン(1948~)Nathaniel Rosen
ブルッフ「コル・ニドライ」
ナサニエル・ローゼン(チェロ)、落合敦(ピアノ)

私が親しくしていた、山梨県在住の弦楽器製作者、飯田裕氏が逝去された。以前よりその楽器を愛用し、日本でも多数演奏してきたのが、アメリカ人で唯一チャイコフスキー国際コンクールに優勝したローゼン。またつい最近、テレビ番組「プレバト」でブレイクした俳人、夏井いつきさんの妹のご主人であることが判明、ローゼン夫妻は山中湖畔に在住。

ガブリエル・リプキン(1977~)Gavriel Lipkind
エルネスト・ブロッホ ヘブライ狂詩曲「シュロモ」
ガブリエル・リプキン(チェロ)、ユオザス・ダマルカス指揮 ムジカ・ロマンティカ2011

やはりユダヤ系の作曲家、ブロッホの名曲「シュロモ」をリプキンが弾く。2010年にお会いした時、「私の書斎にはチェロ協奏曲のスコアが1300曲あります。私の人生があと何年残されているかわかりませんが、その中の100曲ほどを録音したいと思っております。私の使命として…」と語っていたリプキン。今後も期待。

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